ルータ、スイッチのTerminal(Console)入出力を高速化する
1.目的
数十台のルータ、スイッチを初期セットアップする際には、通常コンソールからテキストのペーストでConfigを投入することが多いと思いますが、実際コンソールから設定を行うと入出力が非常に遅く、効率が悪いので高速化して生産性を向上します。
2.環境
- Cisco 891FJ
- TeraTerm (Windows)
- USB-Serial変換アダプタ
- コンソールケーブル
3.手順
Console経由の入出力を高速化してConfigの貼り付け効率を向上させます。
具体的にはルータ/スイッチのボーレートを上げて、Teratermの設定も同じ値にします。
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ルータ/スイッチのボーレートを38400に設定します
この設定はConfigに保存されないので、再起動で元(Baud Rate 9600)に戻ります。
> enable # terminal speed 38400
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TeraTermの[設定]>[シリアルポート]>[ボー・レート]をクリックし38400を選択後、[OK]
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ターミナル入力画面に戻ったらEnterを一度押す
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下記コマンドで入出力と設定状態を確認する
“38400"と表示されていればOKです。
#show terminal | inc TX/RX Baud rate (TX/RX) is 38400/38400, no parity, 2 stopbits, 8 databits
4. 評価
どれくらい早くなったのかを評価してみました。
a)入力速度
Baud Rate 9600と38400で、100行のテキストをペーストした際の時間を比較してみました。
- | Baud Rate 9600 | Baud Rate 38400 |
---|---|---|
100行貼り付け速度 | 7秒 | 2秒 |
7秒が2秒になりましたので、処理時間が約1/4になりました。300台セットアップした場合だと、Configの投入作業だけで5秒×300台=1500秒(25分)短縮することができました。
a)出力速度
Config投入後はrunnning-configなどの情報をエビデンスとして設定結果を取得することが多いですよね。Baud Rate 9600と38400でshow techの出力速度を比較してみました。
- | Baud Rate 9600 | Baud Rate 38400 |
---|---|---|
show tech | 11分30秒 | 3分 |
こちらも入力と同じく、処理時間が約1/4になりました。show techで300台のエビデンスを取得する場合、8分30秒×300台=42.5時間の効率化になります。
5. もっと効率良くするにはどうしたらよいか
上記の手順だと、TeraTermのBaudRate設定変更(9600→38400→9600→38400→つづく)が必要になります。これがGUIだと意外に手間がかかります。
ですので、さらに効率的に作業する手順を考えました。
具体的にはコンソールケーブルを2本用意し、コンソールケーブル1はBaud Rate9600、コンソールケーブル2はBaud Rate 38400としておけばTeraTermのBaudRate設定変更が不要になるので、コンソールケーブルの差し換えだけとなり、さらに作業を効率化することができます。
具体的な手順は以下の通りです。
- 端末に2本のSerialを用意する(Serial-A,Serial-Bとする)
- Serial-AはBaud Rate 9600のまま
- Serial-BはBaud Rate 38400にする
- Serial-AでConsoleにログイン
> enable # terminal speed 38400
- Serial-Aを抜きSerial-BでConsoleに接続
- conf tで設定投入後、write mem(copy run start)
- 機器を再起動して完了